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【仮面ライダークウガファン必見】バイクアクションの神!成田匠さんインタビュー

2000年1月より1年間、テレビ朝日系列で毎週日曜に放映されていた「仮面ライダークウガ(以下、クウガ)」。幼少期にリアルタイムでクウガを観ていた世代であれば、バイクという存在を初めて認識し、憧れを抱いた方も多いことでしょう。

“平成仮面ライダーシリーズ”の第一作目にあたり、本格的なバイクアクションに定評のあるクウガ。今回は、クウガでバイクアクションを担当した成田匠(なりたたくみ)さんに、語られることのなかった当時のエピソードと、バイクの魅力について語っていただきました。

 

成田匠さんプロフィール

全日本トライアル選手権で総合チャンピオンの経験を持つプロトライアルライダーであり、現在ではトライアル世界選手権のコース設計も務める日本のトライアル界を牽引する存在。近年では電動トライアルバイクの普及に力を注ぐ傍ら、40年以上の歴史を誇る「出光イーハトーブトライアル大会」の会長としても精力的に活動している。

 

きっかけは競技直前のスカウトだった!

お話をいただいたのは1999年の9月くらいだったと思います。当時、トライアル選手として広島で開催された全日本トライアル選手権に参加していた時のことですが、競技開始の5分前、いきなり初対面の方から「仮面ライダーの仕事を引き受けてほしい」と話しかけられたのがきっかけでした。

その時は完全に集中モードに入っていたので競技が終わってから詳細を伝えられたのですが、それが石森プロの方で、新しく制作する仮面ライダーの劇中でバイクアクションを担当してもらえないかというお話でした。

後日あらためて石森プロの方々と打ち合わせをした時に「本物のバイクアクションを子ども達に見せてあげて欲しい」と言われたのが心に響き、そのまま引き受けることにしました。

※トライアルとは、岩場や崖など、高低差や傾斜のある土地に設定されたコースを、バイクに乗ったまま、いかに足をつかずに走り抜けることができるかを競う競技のこと。

 

引き受けたのは何といっても「バイクに乗るのが正義の味方だったから」

成田匠さん

バイクは悪役や不良が乗る道具として描写される事が多い中、仮面ライダーはヒーローが悪を倒すために乗りますよね。仮面ライダーは、当時、私の知る限りバイクが正義のために使われる唯一の作品でした。これまでずっとバイクの普及活動を行ってきた身としては、これも大きな決め手でした。

 

選手との両立は大変。それでもバイクシーン撮影現場の活気が支えに!

もちろん選手としても活動していましたが、翌年からあるバイクメーカーのプロジェクトにライダーとして参画する事が決まっていたほか、同じく翌年から日本で初めて開催されるトライアル世界選手権のコース造成も同時進行していました。しかも制作期間は一年間というお話だったので少し躊躇しましたが、詳細を聞いたら私の出番はそこまで多くないことがわかったので、なんとか両立する事できました。

ただ、オープニングの撮影を年内に終えないといけなかったので、それまでにベース車両を用意したりと、結構慌ただしかったですね。

また、私が携わった撮影自体は一発OKのケースが多く、きちんと役目を果たせているという手応えはありました。何よりバイクアクションの撮影になると、スタッフがすごく活気付くような雰囲気がありましたので、私も最大限その要望に応えたいと思っていました。ちなみに、 実は“前輪パンチ”や”後輪キック”などの必殺技は、撮影を進めながら現場で生まれたアイデアだったんですよね。

 

本当の事故と思われた撮影シーンも!

最も印象に残っているのは、ある橋の下で怪人を倒すシーンです。そこは普通に通行人が居る場所での撮影だったのですが、怪人を倒す瞬間に大声で悲鳴をあげ、またその声量がすごかったんですよ。たまたま通りがかった通行人も二度見どころではない形相で見ていましたし。

しかも、その時トライアル競技で同世代のライバルがたまたまバイクで通りがかり、本当の事故かと思って駆け寄ってきてしまうというハプニングもあったりと、作中で見せた色々なバイクアクションよりも実は一番記憶に残っています。

また、本番直前になるとスタッフさんも全員はけてしまい、私だけがバイクに跨ってスタンバイ状態になるのですが、その時も通行人の目に晒されていて、自分一人で我慢しないといけないんですよ。多少の気恥ずかしさはあったかもしれませんが、それでも気が散らないようにグッと耐えていました。

 

バイクアクションは過酷さを極め、倒れてしまうことに

スーツでのアクションは非常に過酷でしたが、特にクウガ31話の撮影がとにかく大変だったと記憶しています。その撮影があったのは8月中旬あたりで、猛暑のなか海岸でバイクに乗って戦うシーンでした。

トライアル世界選手権も無事終えて、メーカーのプロジェクトもやりきって、とにかく体力が消耗しきった状態で撮影に挑んだのですが、結局、極度の心身疲労と猛暑で、最終的には倒れてしまいました。その後入院を勧められたのですが、無理を言って点滴を打ちながら自宅療養とさせていただきました。

 

仮面ライダーという歴史の重みと、今でもファンに支えられた特別な作品

撮影後にプロデューサーさんからプレゼントされたというクウガのフィギュア(成田さん私物)

クウガの仕事に携わる前から、東京モーターサイクルショーなどでバイクのデモンストレーションを行なっていましたが、クウガの放映後から、そこに熱烈なクウガファンの方が会いに来てくれるようになりましたね。それでも、仮面ライダーという歴史の重みと、子どもの夢やファンの熱い想いもありますので、本当にこの20年間、自分から言うことはありませんでした。

ですが昨年、当時の制作プロデューサーが唐突にTwitterで「バイクアクションを担当してくれたのは成田さんです」とつぶやき、ファンからの反応も想像以上だったので、私もそれっぽい技を動画撮影して投稿したことがありました。「久々にやってみました。ありがとうございます。」と投稿をしたら、ものすごい数のコメントをいただき、20年以上経った今でもクウガはこんなに愛されているのだなと改めて感じました。

いまだに全国でバイクのデモンストレーションイベントなどを行うと、親子で観覧しに来てくれた親が「ほら、クウガだよ」と説明してくれます。しかし、子どもは何のことかさっぱりわからないので、その時は「クウガと一緒にバイクに乗ったんだよ」と話していますね。

 

バイクへの夢はいつでも実現できる!

バイクに興味を持つきっかけは人それぞれですが、当時テレビでクウガを観ていた子どもたちが、本作の影響でバイクに興味を持ちライダーになったというエピソードをよく聞きます。この点について、長年バイクの普及活動を続ける成田さんに語っていただきました。

プロとして本物のバイクアクションを、そしてバイクのかっこよさを子ども達に観て欲しかったと話したとおり、一人でも多くの方にバイクの魅力を知ってもらいたいという思いでバイクアクションを引き受けました。その甲斐あってか、クウガファンの中には、おそらくバイクに対して好意的に思ってくれている方が多いのではないかと思います。」

「ただ、当時クウガを観て育ち、どんなにバイクに好意的な方であっても、経済的な理由や家族の理解、置き場所の問題など、様々な理由でバイクに乗れないかもしれません。無理にとは言いませんが、本音としてはすぐにでもバイクに乗って魅力を体感して欲しいと思っています。バイクはいつでも待っていますので、いつか是非乗ってみてください。きっと、クウガを初めて観た時のワクワクが蘇るはずです。

協力:東映「仮面ライダークウガ」

https://www.kamen-rider-official.com/riders/1

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