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ジャパンモビリティショー2023に見たバイクの未来とは?

2023年10月26日から11月5日までの11日間、東京ビッグサイトにて開催された「 JAPAN MOBILITY SHOW 2023 [ジャパンモビリティショー]」(以下、JMS)。

これまで2年に1度開催されていた前身の「東京モーターショー」(以下、TMS)では、 クルマ業界の最新技術やコンセプトモデル、新製品を出品する展示会 としてクルマやバイクが主体でしたが、2021年はコロナ禍により中止となったため、2019年から実に4年ぶりとなる今回からJMSと名称を新たに、クルマだけではなく、自転車や電動キックボードなどの特定小型原付、全く新しい乗り物を含むあらゆるモビリティを中心に全産業で日本を盛り上げるショーへと進化しました。

今回のJMSでも、バイクメーカー各社によるワールドプレミア(世界初公開)が実施されたほか、バイクファン必見の最先端技術や未来の可能性について垣間見ることができましたのでご紹介いたします。

※元々は二輪車館が独立してあった時代もあります

“シン・6輪生活”の到来!?

ホンダが展示した電気自動車の「SUSTAINA-C Concept」と折りたたみ式電動バイク「Pocket Concept」

クルマに限らず電動化も将来の方向性の一つとして見えてきたバイク潮流において見えてきたのが“新しい6輪生活”の兆しです。

従来までの6輪生活は、クルマ(4輪)とバイク(2輪)の両方を所有することであり、“遠距離=複数名で使用”と、“短距離=単独で使用”という用途に合わせた使い分けとしての意味合いが主でした。

スズキが展示した参考出品車の「スペーシアコンセプト」と、折りたたみ式の電動バイク「e-PO」

しかし、電動化することで大きなメリットを享受するであろうパーソナルコミューターがさらにコンパクト化すれば、クルマへの積載がより容易になる可能性が見えてきました。

実は過去にもクルマへの積載を想起させるコンパクトな原付モデルはいくつか発売されましたが、それでも20㎏以上の重量であったため、気軽に積載とまでは至りませんでした。

“シン・6輪生活”では、長距離移動はクルマで行い、到着後にパーソナルコミューターをクルマから下ろしてその先を楽しむ、といったスタイルです。

クルマで走行中は後ろに積載した電動パーソナルコミューターも同時充電、そんな時代がいよいよ現実的なところまで来ているのかもしれません。

トヨタが展示した折りたたみ式の電動3輪パーソナルモビリティ「ランドホッパー」

いくつものメーカーブースで、折りたたみ式の電動パーソナルモビリティをクルマの脇に展示していたことからも、アウトドアシーンにおける到着後の移動や、都市部で駐車後のラストワンマイル移動にと、いくつもの可能性が感じられました。

クルマへの積載を前提とした小型パーソナルコミューターの世界が広がれば、対象はバイクユーザーだけではなくクルマユーザーへも波及することとなり、大きな需要が期待できるのではないでしょうか。

スマートフォンとのコネクテッド化

スマホで電源のオンオフ

クルマや電動アシスト自転車、電動キックボードなどの、主にレンタルでは既に活用されているスマホアプリを用いた本体の電源オンオフ、あるいはロック解除などの機能。こうしたモビリティとのコネクテッド化の一例として“デジタルキー”アプリを展示していたミネベア アクセスソリューションズ株式会社の担当者にお話を伺いました。

スマホでアンサーバック(ウィンカーの点滅)

バイク自体も電装部品のワイヤレス化が進み、また通信可能なモデルも増えています。

そうしたなかで、まずはスマホによる電源のオンオフと、駐車場で自車を探す手間を省くアンサーバック機能をアプリで操作できるようにと考えています。従来まではこうした機能を有するモデルに限り、専用のリモコンを操作することで実現していましたが、これからはやはりスマートフォンと繋げることにより、他の機能への展開も可能になってくると思います。

こうしたありそうでなかった便利な機能を、アプリケーションなどのソフトウェアで使用可能となれば、メーカー純正だけではなくサードパーティによるサービスも含めて一気に利便性が加速する予感がしました。

EV化に伴い顕在化する電欠トラブル

クルマ関連の製品やサービスを提供するTPR株式会社が展示していたのは、なんと給電が可能なEVバイクでした。

ガソリンで動くエンジンバイクの場合、高速道路で特に多いトラブルは燃料切れです。いくら燃費性能が向上しているとしても一向に絶えないトラブルですね。

TRP社の展示した給電可能なEVバイク

これがEVバイクに変わると、補給しなければいけないのは電気です。従って給電サポートは将来的には必須となるでしょう。

こちらのEVバイクは、サイドケースに大容量バッテリーを搭載しているため、ガス欠ならぬ電欠となったEVバイクへの給電だけでなく、災害時における給電も想定して開発されたコンセプトモデルです。災害時における優れた機動力を発揮するバイクだからこそ、渋滞などで機動力が失われるクルマでないという車両の選択も理解できます。

AZAPA社の考える移動式バッテリーステーション

これまでも何度か災害時に活躍するバイクについて当サイトでも紹介してきましたが、EV化が進むに従い、機動力だけではなく山間部にも入れる走破性にも優れたオフロードタイプの給電バイクの展開も考えられるのではないでしょうか。

ワイヤレスに伴う機能&操作性向上で未来化著しいインターフェイス

「SONY HONDA MOBILITY」AFEELAのインターフェイス

最後に目についたのは、いわゆるマシンと人間の接点となるインターフェイス。

例えばクルマのハンドル上での操作はクラクションのみでしたが、いまやAV操作、クルーズコントロールの操作、各種モード切替、ギアシフトなどの機能が満載です。

この状況は最近のバイクにも近しく、フル液晶デジタルメーターを採用するモデルが主流となり、バイク自体の情報をスマホアプリで管理したり、ナビゲーションなどの通信機能も備わるようになりました。クルマとは異なり、基本的に両手をハンドル(グリップ)から離せない状況下で親指または人差し指を使ってどれだけの操作ができるかが鍵となってきています。

朝日電装が展示した「エルゴスイッチハンドル」

こちら朝日電装が開発したバイク用ハンドルスイッチの試作品は、EV化による電装品のワイヤレス化でスイッチをグリップ内に埋め込んだタイプや、あえてハンドルバーとは別体にして、アクセルもスロットルではなくスイッチ形状とするなど、ありそうでなかった目から鱗の試作が並んでいました。

トヨタブースに展示されていた操縦桿タイプのハンドル「NEO Steer」

トヨタブースに、実体験モデルとして展示していたこちらのハンドルは、チェアスキー選手の意見が取り入れられており、ハンドルを何度も回転することなく車両を旋回することができるほか、降車時に手をついて支え(ハンドル下の受け部)にもなる飛行機の操縦桿のようなユニークな形状です。

なお、アクセル操作は右のレバーで行うサムアクセルを採用し、ペダルレスとするなど多様化時代への配慮が見られました。

与えられた環境の変化をうまく活用しながら、モビリティの形や機能、操作などに おける進化は加速し続けています。

バイクと人のインターフェイスとなるハンドルやメーター回りだけでなく、 EV化が普及した後に起きうるトラブルシューティングに関わるサービスなど、バイクの未来はバイク本体の進化よりも広い範囲で思いがけないことが起こりそうな予感がしました。

電動化(または代替燃料化)、自動化、コネクテッド化、100年に1度の大変革期と言われる自動車業界そして二輪車業界、そして刻一刻と変化する価値観のなかで、バイクメーカー各社はどのようにして具現化されていくのでしょうか。今後もその動向に注目が集まります。

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