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進化する胸部プロテクターのトレンドを知る

交通事故の衝撃からライダーを守る装備として、ヘルメットと並んで重要視されるのが「胸部プロテクター」です。近年はライディングスタイルや用途に応じて、素材・形状・機能が大きく進化し、快適性と安全性の両立が進んでいます。本記事では、バイク用ライディングギアブランド「RSタイチ」に、最新の胸部プロテクターの特徴と選び方、そして2026年のイチオシモデルを聞きました。これから導入を検討する方も、すでに装備している方も、そのトレンドをチェックしてみましょう。

胸部プロテクターの着用率、その現状は?

警視庁の調査によると、2025年の胸部プロテクター着用率は9.9%で、前年からわずか0.1ポイントの増加にとどまっています。依然として10%に満たない状況であり、多くのライダーが装着していないのが現状です。一方で、2025年の二輪車乗車中(原付を含む)の死亡事故における損傷主部位を見ると、頭部(37.8%)に次いで胸部(31.5%)の損傷が多く、胸部プロテクター着用の重要性が浮き彫りになっています。

こうした胸部プロテクターの現状を、メーカーはどう捉えているのでしょうか。今回は、各種プロテクターを自社開発するライディングギアブランド「RSタイチ」の広報担当・篠田帆乃香氏(以下、篠田さん)に話を聞きました。業界としてもこの状況を重く見ており、メーカーや団体が啓発活動と製品開発の両面から普及を後押ししているといいます。

「現在の着用率は約10%程度で、まだまだ十分とは言えません。死亡事故では胸部損傷が多いにもかかわらず、この着用率は非常に低いと感じています。弊社では、2030年までに着用率16%に引き上げることを目標に掲げています。この目標を掲げた背景には、“少なくとも倍以上には伸ばさないといけない”という社内の目標意識があり、普及への取り組みやニーズに合わせた開発を進めています。しかし、一気に増えるものではないため、着用率を上げるには、その要因を一つずつ解消していく必要があります」

胸部プロテクターの重要性は、事故データや安全啓発によって広く知られるようになっています。しかし、実際の着用率が伸び悩んでいる理由として多く挙げられるのが、装着時の快適性や利便性です。

「バイクに乗る際に一番大事なのは“楽しむこと”です。そのため、着用時の重さやかさばり感、通気性の悪さ、価格の高さなど、ライディングの快適性を損なうイメージが強いことが、着用しない理由としてよく挙がります。こうした課題に対して、弊社を含め業界全体で改善に取り組んでいます。

ただ、実際に使ってもらうと、思っていたよりも違和感が少ないと感じる方は多いですね。最近は若いライダー、特にエントリー層の方の安全意識が高い傾向があります。教習所でもプロテクターを自ら持参する方が増えていて、実際の装着率も比較的高いです。逆に、長年乗っているベテランライダーの場合は自分のスタイルが確立しているので、新しい装備を取り入れること自体へのハードルが高くなっている面もあります」

つまり、現在の課題は「必要性の認知」よりも、日常的に装着できる「快適性や使いやすさ」にあり、各メーカーは「安全性の高さ」だけでなく、軽量化・通気性・装着のしやすさといった快適性の改善に力を入れています。

RSタイチが開発を始めた当初の胸部プロテクター。現在のモデルに比べると、硬く重さもありました

なお、RSタイチが胸部プロテクターの開発に本格着手したのは2010年ごろ。その背景には、普及を後押しする業界側の動きがありました。

「もともとは胸部プロテクターを販売していたホンダから、プロテクターの普及を進めるために、2008年にジャケットへ装着しやすい共通取り付けシステムの提案を受けました。その当時、すでに肩肘用のプロテクターは自社開発を進めており、ホンダのお声がけをきっかけに、2010年から胸部プロテクターの自社開発が本格始動しました。

どうすれば自然に身につけてもらえるかをテーマに開発していましたが、当初のモデルは、重くて硬く、構造もかなり異なっていました。最初はボタンで固定する方式でしたが、それだと体格差への対応が難しかったため、改良を重ねて、現在のモデルでは無段階で調整できるシステムへと進化しています。体格の違うライダーでもフィットするように、調整機構はかなり改良してきました。現在も、トレンドやニーズに合わせて進化を続けています」

このように、胸部プロテクターの普及率を高めるうえで鍵となるのが、「安全性」と「快適性」の両立です。近年の製品開発では、従来の「硬くて重い装備」というイメージを払拭するため、軽量化や通気性、フィット感の改善が大きなテーマになっています。

2026年胸部プロテクターのトレンド

素材の進化

近年の胸部プロテクターで特に重視されているのが、軽さと着用感の向上です。現在のトレンドについて、篠田さんはこう説明します。

「現在のトレンドは、軽量で着け心地のよいモデルです。お客様が求めているのも、ライディングを邪魔しない装備なので、そのニーズに合わせた製品開発が進んでいます。

他社では柔らかいソフトタイプのプロテクターも出ていますが、弊社では強度面を重視してハードタイプを採用しています。ただし、ハードタイプであっても「重くて蒸れる装備」ではなく、通気性や軽量化を徹底的に追求した設計が特徴になっています」

胸部プロテクターの着用をためらう理由として多く挙げられるのが、夏場の暑さや蒸れです。そこで近年の製品では、通気構造の改良が大きく進んでいます。なかでも、RSタイチの「TRV091 ネックスエアー チェストプロテクター」は、その流れを象徴するモデルのひとつです。

「弊社の開発製品で言うと、TRV091が強度、価格、そしてユーザーが求めているバランスを一番うまく実現できた製品です。特に通気性にはこだわり、夏の暑さ対策として、穴の面積と数を大幅に増やしています。通気孔の配置やサイズを見直すことで、ライディング中の走行風を取り込みやすくし、蒸れにくくしているのも特徴です」

構造設計の進化

最新モデルでは、素材だけでなく、プロテクターの構造そのものにも見直しが加えられています。

「以前のモデルは2つのパーツを組み合わせた構造だったため、どうしてもつなぎ目ができてしまい、そこが強度面での弱点になることがありました。そこでTRV091では、一体成型のモノコック構造を採用しています。つなぎ目がないことで軽量かつ高強度を実現しており、射出成型によって均一な強度が確保できています。さらに、軍用カラビナの発想を応用し、ふちの剛性を強化したり、表裏で穴径を変えて通気性と強度を両立するなど、細かい設計面にも工夫があります」

今後の展望

「ライダーのニーズも変化していて、若い方はファッションも含めて価値観が多様化しており、オートバイに乗るスタイルもさまざまです。また、ライダーの楽しみ方は多様化しており、ツーリング、サーキット、林道など走るシーンもさまざまです。ライトに楽しむ方も多く、安全装備になじみのない方にプロテクターを使っていただくためには、まだやるべきことが多いです。

例えば、ジャケットの脱ぎ着が面倒な方でも使いやすいセパレートタイプや、女性の体型に合わせた胸部プロテクターなど、ニーズやライディングスタイルに応じた製品が増えています。プロテクターは面倒くさいものではなく、気軽に身につけられるものであり、安全を守るもの。胸部プロテクターだけではなく、安全装備全体として、幅広いニーズに応えられる製品であることを目指していきます」

イチオシ最新胸部プロテクター

TRV091 ネックスエアー チェストプロテクター

特徴

  • CEレベル2(Bタイプ):胸部を広範囲で保護
  • 高通気設計:穴径を表裏で変えて通気と強度を両立
  • 一体成型(モノコック構造):軽量かつ強度均一
  • 税込5,940円で、初めてのプロテクターにもおすすめ

RSタイチ コメント
「発売前から注目度が高く、前回の東京モーターサイクルショーで販売を開始して以降、春先には一気に広がりました。高い剛性と通気性を両立しているのが特徴で、街乗りからツーリング、スポーツ走行まで幅広く使えるモデルです」

TRV099 ステルス CE プロテクション インナー

特徴

  • シンプルな構造で扱いやすく、コストパフォーマンスも高い
  • 街乗り〜ライトツーリングに適したモデル
  • CEレベル1ソフトタイププロテクター(胸・肩・肘)
  • CEレベル2プロテクター(背中)

RSタイチ コメント
「TRV099もすごく人気ですね。胸部のみでなく、背中、肩、肘にプロテクターを標準装備していて、お好みのアウターで、ファッションを楽しみながら体も守りたい方におすすめです。入門者や手軽に使いたいライダーに支持されています」

TRV100 ヘリンクス プロテクションベスト

特徴

  • ベストタイプのためTシャツや薄手アウターの下でも着られる気軽さ
  • メッシュ3D構造を使用した生地を採用
  • 夏場でも風通し良好、冬場は上にアウターを重ねて使用可能

RSタイチ コメント
「もともと海外向けに作ったモデルですが、日本国内でも人気が出ています。メッシュの穴を大きくしたことでより通気性が良くなっています。ライトユーザーや短距離ライド向けとして、初めてのプロテクターに最適です」

胸部プロテクターは、ライダーにとって欠かせない安全装備です。近年は素材や構造の進化により、軽量化や通気性、フィット感が向上し、街乗りからツーリング、スポーツ走行まで幅広いシーンで取り入れやすくなっています。

走行時の安全を守るためにも、まずは一度装着し、その安心感を体感してみてください。

一般社団法人 全国二輪車用品連合会(JMCA)

https://jmca.gr.jp/

二輪車利用者に対するヘルメット及び胸部プロテクターの着用状況調査結果

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/heru_pro.html

交通事故統計|警察庁

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/toukeihyo.html

RSタイチ公式サイト

https://www.rs-taichi.com/

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