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【第1回】バイク専門用語の語源と正しい使い方を解説

バイクのことを知っていくうちに、バイク特有の専門用語を耳にする機会が多くなってきます。気がついたらなんとなく使うようになって、それぞれの言葉の語源や本当の意味になかなか触れられずにいる方も少なくないでしょう。

そんなバイクの世界ならではの専門用語がどこから生まれて、どう使われるようになったのか。それぞれの言葉の語源や意味を解説いたします。

バイク専門用語の解説

ネイキッド

ネイキッドバイク:ホンダ CB400 SUPER FOUR

ネイキッドは英語で「naked」、意味は「裸」「剥き出し」です。バイクのタイプ別に用いられる際は、カウル (走行風を整流するためにエンジンや車体を覆うカバー部品) が付いていないバイクのことを指します。ホンダ CB400 SUPER FOURやCB1100、ヤマハ MT-07、カワサキ Z900、スズキ GSX-S1000などがネイキッドバイクにあたります。

スーパースポーツ

スーパースポーツバイク:ヤマハ YZF-R1

スーパースポーツとは車体そのものがカウルに覆われた、いわゆるフルカウルタイプのモデルを指します。以前は排気量401cc以上のモデルが対象となっていましたが、近年は400cc以下のモデルもスーパースポーツと呼ばれています。サーキット走行に用いることを想定したスポーツ性能を追求したバイクで、速く走ることを目的としています。ホンダ CBR1000RR-R、ヤマハ YZF-R1、カワサキ NINJA ZX-10R、スズキ GSX-R1000R ABSなどがスーパースポーツバイクになります。

レーサーレプリカと混同されることがありますが、実際のレーシングマシンをベースに生み出されたレーサーレプリカと異なり、スーパースポーツは公道使用を前提にスポーツライディングを楽しむためのバイクという明確な違いがあります。

ツアラー

ツアラーバイク:スズキ GSX-S1000GX

ツアラーは英語表記で「Tourer」、「tour」(旅行)と「er」(〜する人)を組み合わせた「旅する人」を意味するバイクのカテゴリーのひとつです。その由来のとおり、ロングツーリングを快適に楽しむことを目的に設計されたモデルで、ウインドシールドを備えたフェアリング (空気抵抗を減らすためにバイクの車体に被せる部品) や大容量のガソリンタンク、排気量401cc以上の大型エンジン、同乗者も快適に過ごせるシートを備えているのが魅力で、パニアケース (バイクの後ろ側にある荷物を入れるケース) 常備など積載量が高いモデルもあります。ホンダ Gold Wing Tour、ヤマハ FJR1300AS、スズキ GSX-S1000GXなどがツアラーモデルになります。

オフロード

オフロードバイク:ホンダ CRF250L

オフロードは英語で「Off road」で、アスファルトで舗装された一般的な道路を「オンロード」に対して、未舗装の道のことを指します。オフロードバイクはそのような未舗装の道を走れる性能を有したバイクを言います。軽量で細身の車体に大径のホイール、ストロークが長い前後サスペンションを備えているところが特徴です。「デュアルパーパス」と呼ばれることもあります。ホンダ CRF250Lなどがオフロードバイクになります。

アドベンチャー

アドベンチャーバイク:スズキ Vストローム1050

アドベンチャーは英語で「adventure」、「冒険」を意味します。バイクでアドベンチャーにカテゴライズされるモデルは、主に排気量250ccが多いオフロードバイクのエンジンが大排気量になり、さらにウインドシールドやカウルなどあらゆるシーンを走破するための装備を兼ね備えたバイクです。世界のありとあらゆる場所を乗り越えていく冒険を楽しめるよう設計されています。ホンダ CRF1100L Africa Twin、ヤマハ TRACER9 GTやTenere700、カワサキ VERSYS 1000 SE、スズキ Vストローム1050などがアドベンチャーモデルです。

スクランブラー

スクランブラースタイルのバイク:ホンダ CL500

スクランブラーは「scramble」(スクランブル / 緊急発進)と「er」(〜する人)を組み合わせた言葉で、未舗装の道を走り抜くことを目的にカスタマイズされたバイクの呼称です。1960年代のアメリカで生まれたスタイルで、まだまだ未舗装の道や荒野をバイクで走って遊ぼうと、当時のネイキッドバイクのサスペンションを長くし、大径ホイールやワイドなハンドルバーに交換したのです。その特徴からも分かるように、現代のオフロードバイクの前身とも言われています。クルマやバイクのレースに参戦していた往年の名優スティーブ・マックイーンが主演するドキュメンタリー映画『栄光のライダー』(洋題:On Any Sunday)で、スクランブラースタイルのバイクでアメリカの荒野を走るマックイーンを見ることができます。ホンダ CL500などがスクランブラータイプになります。

アメリカン

アメリカンバイク:カワサキ ELIMINATOR

アメリカンはその名にある通り、広大なアメリカ大陸を走り抜けられる直進安定性に秀でた低重心設計のバイクを指します。比較的起伏が少ない直線道路を巡行することを目的としており、現在では「クルーザー」とも呼ばれています。ホンダ Rebel 500、ヤマハ BOLT Rスペック、カワサキ ELIMINATORなどがアメリカンバイクになります。

コンペティション

コンペティションは英語で「competition」という綴りで、「競争」「競技会」という意味になります。バイクで用いられる際は「市販される競技用バイク」を指し、ヘッドライトやウインカーといった公道を走るために必要な保安部品が備わっていない、決められた競技コース(サーキット)での走行を目的としたバイクがコンペティションです。ホンダ CRF450R、ヤマハ YZ250、カワサキ KX250、スズキ RM-Z250などがコンペティションになります。

トライク

トライクは英語で「trike」、3輪バイクのことを指します。前輪1輪・後輪2輪の車両や、その逆となる前輪2輪・後輪1輪の車両が該当します。

トライクには三輪自動車として普通自動車で扱われる車両と、二輪免許を必要とする「内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの(原付三輪)」と「特定二輪車」に分類されます。

「内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの(原付三輪)」は、50cc未満並びに0.6kW未満の3輪のバイク(自動二輪車を除く)を指し、内閣総理大臣が定める条件(「3個の車輪を備えていること」「車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置されていること」「同一線上の車軸における車輪の設地部中心点を通る直線の距離が460ミリメートル未満であること」「車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有すること」)を満たす車両になります。そのため法律上は原動機付自転車として扱われます。ホンダ ジャイロなどが該当します。

「特定二輪車」は、「内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの(原付三輪)」と同じく内閣総理大臣が定める条件を有しつつ、51cc以上の排気量のエンジンを搭載した車両を指し、自動二輪車として扱われます。ヤマハ トリシティがこちらに該当します。

タンデム

タンデムは英語で書くと「Tandem」、「縦に並ぶ」というラテン語が語源です。その昔、2頭の馬を縦に並べた馬車のことを「タンデム」と呼んでおり、それが現代ではバイクでの2人乗りを意味する言葉になりました。

タンデム走行ができる条件としては、大型自動二輪免許、普通自動二輪免許、小型自動二輪免許を取得してから1年以上経過していることが道路交通法に規定されています。

タンデム走行できる道路にも区分があり、高速道路や自動車専用道路では「年齢が20歳以上で、二輪免許取得から3年以上」という規定されています。また、首都高速道路では一部でタンデム走行禁止区間もあるので、注意しましょう。

タンデム走行が可能なバイクは、一般道では排気量50cc超、高速道路では排気量125cc超のバイクであることが取り決められています。

単車

単車という呼称は、側車が備え付けられているサイドカーと区別するために使われるようになった二輪車の俗称です。現代ではサイドカーは稀な存在ですが、太平洋戦争以前は荷物や人を運ぶための乗り物としてサイドカーが多く走っていました。そのサイドカーと、側車を備えないバイクを区別するため、「単体の車両」の略称として二輪車が「単車」と呼ばれたのです。時代の流れとともに三輪車や四輪車が一般的となり、サイドカーの需要が少なくなってきたことから側車を外したバイクだけが用いられるようになり、当時の「単車」という言葉が現代でも使われています。

まとめ

今回は主にバイクのタイプについて解説しました。バイクライフを楽しんでいると耳にする「バイクの世界特有の言葉」は他にもたくさんあるので、第2弾、第3弾とお届けしていきたいと思います。

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